Heart Of Steel

買ったアルバムの感想を語る場

WHEEL

「メタルファンは、死ぬまでメタルファンなんだ。パーマネントに『あ~○○年の夏はSLAYERをよく聴いたよな~』みたいな聴き方をする奴は一人もいないよ」byロブ・ゾンビ

2021年ベストアルバムその他の15枚

bestof2021-2
2021年の個人的にベストアルバム10枚を選出したが、今回はそれに入れなかったが、やっぱり取り上げておきたい2021年にリリースされたアルバムを15枚ご紹介。今回もライブアルバム、EP等は除外。


1.CHEAP TRICK "In Another World"
cheaptrick_inanotherworld
ベテランにありがちな昔の曲だけに頼るということは無縁のCHEAP TRICK。コンスタントに新譜を作り、それがどれも良盤というのは、よくよく考えても驚異的。継続するというのは本当に凄いと思う。衰えない作曲能力、ロビン・ザンダーのボーカルといい、今作は特に音のフレッシュ感が印象に残る。


IN ANOTHER WORLD
CHEAP TRICK
ADA/BMG RIGHTS MANAGEMENT
2021-04-09




2.ALICE COOPER "Detroit Stories"
alicecooper_detroitstories
MC5ウェイン・クレイマーが中心に参加、プロデュースがボブ・エズリンということあって、70年代の頃に回帰したかのようなサウンド。そこに現代的なプロダクションでタイトに締めて、古臭く感じない。カバー曲や過去のリテイク曲の比率が多いが、純粋な新譜として十分楽しめるし、何よりテンションの高さにまだまだアリス・クーパーはロックシーンに必要不可欠と証明してくれる内容。


Detroit Stories
Ward Records Inc.
2021-02-26




3.NIGHT RANGER "ATBPO"
nightranger_atbpo
NIGHT RANGERは80年代のアルバムだけで十分!と思っていたが、新譜を聴いてすみませんでした!過去の名曲に負けず劣らずの内容で、ジャック・ブレイズの作曲能力は未だ健在ですね。安心二重丸のNIGHT RANGERサウンドだけど、出だしがHIMっぽい曲があったり(↓の曲)と捻りもキチンと入っている。


ATBPO ~アンド・ザ・バンド・プレイド・オン~
ナイト・レンジャー
ワードレコーズ
2021-08-06




4.THE DOOBIE BROTHERS "Liberté"
doobiebrothers_liberte
ウエストコーストロックの代表格、THE DOOBIE BROTHERSの11年振り(!)となる新作。ファンなら文句は出ないであろうドゥービーサウンドが満載。その中でキラリと光る"Just Can't Do This Alone"はこの曲のためだけにアルバムを買う価値があると思う。ほのかな切なさとアメリカのバンドらしいスケール感が同局する名曲!!


リベルテ (SHM-CD)
ドゥービー・ブラザーズ
Universal Music
2021-10-29




5.THUNDER "All The Right Reasons"
thunder_alltherightnoises
今や王道のブリティッシュロックを続ける数少ないバンドとなってしまった!?THUNDERの新譜。サウンド面で大きな変化は無いが、楽曲の良さはそのままで、ちょっとしたアプローチを変えることで、常に新鮮な空気が流れるのは、コンスタントに活動を続けているバンドならではこそ。今作はホーンセクションや女性コーラスを多用してよりカラフルになっている反面、サウンドプロダクションは今まで以上に骨太になっており、その対比が今作のサウンドの特徴といえるかもしれない。


オール・ザ・ライト・ノイゼズ
サンダー
ワーナーミュージック・ジャパン
2021-03-12





6.KK'S PRIEST "Sermons Of The Sinner" 
kk'spriest_sermonsofthesinner
ヘヴィメタルって、基本は「怒り」を表現する音楽だとつくづく思った。
JUDAS PRIESTを脱退して、引退同然だった、K・K・ダウニングロブ・ハルフォードの後任を努めたティム・リッパー・オーウェンスをボーカルに迎えて、プリーストに再加入できないフラストレーションを全てぶつけたかようなサウンド(笑)K・Kのプリーストでの貢献度が高かったことを示すかのような第二のJUDAS PRIESTといっていい充実した内容で、リッパーのボーカルの素晴らしさは言うまでもなく。彼がバンド在籍時に誰もが求めるプリーストサウンドで勝負してほしかったなぁ・・・。
K・Kの脱退した経緯や、それ以降の言動には賛同できないところが多いが、こうして本家を刺激し続ける音を出してくれるなら、それはそれでOKかなと思っている(笑)


Sermons of the Sinner
KK's Priest
Ex1 Records
2021-10-01




7.CARCASS "Torn Arteries"
carcass_tornarteries

CARCASSビル・スティアがその時にやりたいサウンドが色濃く出るバンドだと認識。確かに同じ内容のアルバムは一つもない。バンドが復帰した前作はファンが求める最大公約数的なサウンドだったように思うが、今作は曲が今まで以上に激しく展開することが多く、ある意味プログレッシブなアプローチが更に増えた。そんな中、ハンドクラップが入った曲があったりと、キャッチーな側面もありつつもビルならでは特徴的なギターサウンドとジェフ・ウォーカーのボーカルがあればどんな音でもCARCASSと一発で判る。


トーン・アーテリーズ Torn Arteries
CARCASS カーカス
(株)トゥルーパー・エンタテインメント
2021-09-17




8.LEPROUS "Aphelion"
leprous_aphelion
ノルウェーのLEPROUSはプログレッシブ・メタルの範疇に入るバンドだけど、今作はとうとうその枠を突き破って、LEPROUSというジャンルと言っていいかもしれない。ファルセットを多用したボーカルはそのままにより普遍的な音楽性にシフトしながらもその神秘性・激しさが高次元に混ざりあったその音楽性はジャンルレスな存在に。


Aphelion
Leprous
InsideOutMusic
2021-08-27




9.VOLBEAT "Servant Of The Mind"
volbeat_servantofthemind
VOLBEATはしばらくアルバムを買っていなくて、久しぶりに聴いたけど、とにかく歌メロの充実っぷりは凄いですねー!METALLICAへのオマージュも入った曲調やサウンドだったりするところが多いけど、それが嫌味に聞こえないところは彼らのロカビリーとメタルの融合というユニークな側面と、METALLICA的なところに頼らない曲の良さがあるのかも。






10.TODD LA TORRE "Rejoice In The Suffering"
toddlatorre_rejoiceinthesuffering
QUEENSRYCHEのボーカリスト、トッド・ラ・トゥーレの初のソロアルバム。QUEENSRYCHEっぽい曲調ではあるが、バンド以上にトッドの幅広いボーカルスタイルが堪能でき、彼が本当に優れたボーカリストと実感。曲もバンドより良いのかも・・と思っている。バンドではまだ彼の才能が120%生かされていないと思うので、ここでの充実っぷりを是非QUEENSRYCHEにも持ち込んでほしいなぁ・・・。


Rejoicing in the Sufferin
La Torre, Todd
Rat Pak
2021-02-05


11.RONNIE ATKINS " One Shot"
ronnieatkins_oneshot
PRETTY MAIDSのボーカリスト、ロニー・アトキンズの初のソロアルバム。メロディックでありつつも一本のビシッ!と揺るぎない芯があるかのようなサウンド、そして、何より良い曲が満載。ロニー・アトキンズはステージ4のガンと戦っているが、アルバムでは何事もなかったようなパワー溢れるボーカルを見せてくれる。多数のゲストも参加しているが、主役はもちろん、ロニー。そのポジティブな姿勢が胸に響く。





12.EDU FALASCHI "Vera Cruz"
edufalaschi_veracruz
ANGRAの二代目ボーカリストだった、エドゥ・ファラスキのソロアルバム。エドゥ在籍時のANGRAといえば、十字軍をテーマにしたコンセプトアルバム"Temple Of Shadows"が代表作だが、そのアルバムを彼なりに再現したかのようなコンセプトアルバム。テーマは十字軍ではなく、ブラジルの歴史にちなんだものだが、非常に密度の濃い演奏とそれに負けないエドゥのボーカルが耳に残る。SOULFLYマックス・カヴァレラがボーカルでゲスト参加しているのも一つの目玉。


VERA CRUZ
King Records
2021-05-12




13.坂本真綾 "Duets"
坂本真綾_duet
坂本真綾のコンセプトアルバムシリーズの第四弾は様々なボーカリストとのデュエットボーカルアルバム。大変恐縮だけど、小泉今日子ぐらいしか知っている方はいなかったのだが(土岐麻子は現代シティポップを代表する人・・ぐらいの知識しかなく)、楽曲の良さでその辺はほとんど気になることもなく。文字通り坂本真綾とゲストボーカル陣が主役だが、それに負けないぐらいバックのインストの充実度合いと凝った楽曲展開があり、これは嬉しい驚きだった。その中でも土岐麻子との"ひとくちいかが?"はシティポップ的な香りがする曲だが、坂本真綾との相性もバッチリでこれはかなりお気に入りの曲である。


Duets
坂本真綾
フライングドッグ
2021-03-17




14.WHEEL "Resident Human"
wheel_residenthuman
フィンランドの若手のTOOLフォロワーバンドの2作目。TOOLのような邪気というか得体の知れないモンスター感は薄いが、完成度の高さはピカイチ。TOOLよりメタル的な要素があることと、割とクセのないボーカルなので、人によっては本家より聴きやすいかも。


Resident Human
The Wheel
Odyssey Music
2021-03-26




15.DREAM THEATER "A View From The Top Of The World"
dreamtheater_aviewfromthetopoftheworld
プログレッシブ・メタルの絶対的王者DREAM THEATERの新作。今作も好きなんだけど、なんか喉の奥に小骨が引っかかっているような感覚になってしまう。そんなモヤモヤがあるけど、気が付いたらよく聴いていた。このモヤモヤの正体を探していたという意味合いはあったけど、このバンドが嫌いになることはなく、他のバンドだったら大名盤!と言われる内容なんだけどね・・・・。アンディ・スニープのミキシングはカッチリとまとめた音像でこのバンドにちょっと新しい要素を入れてくれた。





以上、15枚でした!2022年も良いアルバムと出会えますように。
 

【レビュー】WHEEL "Resident Human"

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フィンランドのオルタナ・プログレッシブバンドと言われるWHEELが今年リリースした彼らの2ndアルバム"Resident Human"

彼らを知ったキッカケというのがPROG MUSIC DISC GUIDEというディスガイドブック。
ディスクガイドはあまり買わないけど、その中でもいわゆる70年代のプログレッシブロックではなく、現在のプログレッシブ・ロック、プログロック(この2つの言葉の違いはイマイチよくわからないが・・・ほぼ同義語と思っている)に焦点を当てたこの本は面白い一冊だと思う。日本だと情報が十分に入ってこない現代のプログシーンの流れを主要バンドに焦点をあてつつ、そこから音楽的に関連があるバンドのアルバムを紹介しているので、この手の音楽に興味がある人なら、取っ付き易くかつディープに探求する手助けになると思う。また、スティーヴン・ウィルソンマイク・ポートノイといった、ビッグなアーティストのインタビューの他にOPETH等のマネジメントを手掛けるアンディ・フェローのインタビューがこれまた面白い!商売の裏側についての話が豊富で、ANATHEMAが活動停止した理由の一つ(いや、本質かもしれない)も語っているので、ANATHEMAファン的にもオススメ。




その本の中で紹介されていたのがWHEELが2019年にリリースした彼らのデビューアルバム"Moving Bakwards"
Moving Backwards
Wheel
Groove Attack
2019-02-21


フィンランドのバンドだけど、あのTOOL直系のサウンドで、デビュー後は数多くのフェスへの出演依頼が殺到したという話を聞き、何よりTOOLは大好きなバンドなので、どんな音なのか知りたくなった!
ほんと、TOOL直系のサウンドで、ボーカル含めてアクが強く無いTOOLという感じだった(笑)北欧っぽさはほとんど感じられず、そこはせいぜいボーカルの発音ぐらいかな?
TOOLのアクの強さは良くも悪くも彼らの特徴で、個人的にそのアクの強さは彼らの魅力の一つと思っているけど、人によってはWHEELの方が聴きやすいかもしれない。なので、個性的とは言えないかもしれないが、デビューアルバムでこのクォリティの高さは驚異的としか言いようがない。






そして、WHEELの2枚目となる"Resident Human"
Resident Human
The Wheel
Odyssey Music
2021-03-26



まずサウンドプロダクション面での向上しており、それも含めてギター、ベースとドラムが一体となってうなるグルーヴが前作以上に心地良くかつパワフルになっている。ボーカル面での迫力が増し、メイナードっぽい歌声も出てきたり(特にタイトル曲)、デビューアルバムからパワーアップしている様は頼もしさも感じる。静と動のコントラスト含めてますますTOOLに近づいたかのようなサウンドは、バンドの個性という意味では良いんだが悪いんだかそこは微妙な気持ちになるが(笑)、曲の良さと中毒性があるそのサウンドはやはり特筆すべきものがある。

TOOLに近づけば近づくほど、音楽だけじゃないアートワーク含めて五感に攻めてくるその音楽的魔力の大きさの偉大さが際立ち、WHEELを絶賛したいという気持ちがある反面、先程のTOOLと比べたら・・というそのジレンマをどうにかしてほしい(笑)単純にクォリティの面ではいえば、これは凄い!!!名盤!!!と叫びたい。タイトル曲は今作の中でも一番TOOLっぽいけど、楽器隊が一斉に襲いかかってくるかのようなリフと展開の妙はカッコよいしなぁ。
インタビューではTOOLへのリスペクトもありつつ、独自の音楽を確立という想いも感じられるので次作の3枚目が勝負になると思うし、そこでWHEELといえばこれ!というものを出してほしいなぁ。新しいバンドの中では特に応援したいので、ブレイクスルーを期待しています。次作は予算が増えてアートワークにも力を入れてほしいところ。今作はうーん、ちょっと微妙w








プロフィール

sekibow

熱苦しいハードロック、ヘヴィメタル、スラッシュメタル、ドゥーム・ストーナー系メタル、プログレ、そして70年代〜80年代のウエストコースト系ロックを愛するパフュメタラー。Sign of the Hammer Be My Guide

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