Heart Of Steel

買ったアルバムの感想を語る場

Lotus

「メタルファンは、死ぬまでメタルファンなんだ。パーマネントに『あ~○○年の夏はSLAYERをよく聴いたよな~』みたいな聴き方をする奴は一人もいないよ」byロブ・ゾンビ

【レビュー】SANTANA "Lotus"(ロータスの伝説完全版)(音楽編)

さて、いよいよ本題のSANTANA “Lotus”(ロータスの伝説 完全版)SACD Hybrid盤の肝心の音について。もちろん、SACD4chマルチチャンネルで!

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その前に、この頃のSANTANAの音楽スタイルはちょうど変革期を迎えていたという点を抑えておこう。1st3rdSANTANA流ラテンロックを確立したが、4th"Caravnserai"からジャズへのアプローチが始まり、ニール・ショーンとグレッグ・ローリーの脱退から、バンドは再編されることになる。新しいSANTANAバンドとしての音はアフリカン・ジャズの色合いが濃く、インプロ中心でフリーキー。カルロス・サンタナはシュリ・チンモイという宗教家に帰依していたため、ライブも日本人スタッフの挨拶から、最初は一分間の瞑想からスタートするという、徹底っぷり。

でも、実際のSANTANAバンドの音は荒れ狂うパーカッションに鋭いギターサウンドで弾き倒すカルロス・サンタナのギターがその上を更に暴れ回るといった感じで、ジャズに幾らアプローチしたといっても、肉食系ラテンな野獣的な色合いは自然と出て来ているところが何よりも印象的だなー。



ロータスの伝説完全版であるこのSACD盤は前の2006年リマスター盤と比べると、アナログライクな音で幾分マイルドな仕上がり。2006年リマスターでも恐ろしいほど臨場感抜群だったけど、少し耳に刺さるぐらいのラウドネスさもあって、聴き疲れるところがあった。ロータスの伝説完全版のSACDの特性もあって、音量をかなり上げても聴き疲れすることなく、音量の大きさも気持ちよく聴けるのがミソ。

4.0ch
マルチチャンネルといってもライブ盤なのでリアチャンネルに楽器の音が配置されることはないが、全体の臨場感や響きは2006年リマスターに無いリアルさがあって、各楽器の音が実に気持ち良い!このライブの中で唯一の哀愁ナンバー”Samba Pa Ti”はギブソン・レスポールギターの甘く太いサウンドが迫ってくるけど、ここまで気持ち良いサウンドだったっけ?と思うほど。44年前のスターテープでも補完状態が良いと、ここまで素晴らしいサウンドが蘇るんですね!



ロータス完全版のもう一つの目玉はオリジナル・アナログ・マルチテープから当時はカットされていた未公開音源が発掘され、演奏曲順通りの追加収録が実現したこと。その追加収録曲は以下の通り。


  • Japan
  • Bambele
  • Um Um Um
  • Light O Life
  • Mr. Udo
  • The Creator Has A Master Plan
  • Savor
  • Conga Solo


ほとんどがこのロータスの伝説完全版でしか聴けない曲ばっかり。

日本人なら?となる曲が2つあるが、一つは“Japan”で、そのまんま、日本に対する情景や印象を歌った曲。クレジットを見ると日本人らしき2名が入っているので、どうやら元曲があるらしい。もう一つが”Mr. Udo”で、ご存知、日本を代表するプロモーターであるミスターウドーにちなんでん名付けられた曲。ボーカルのレオン・トーマスのヨーデル風ボーカルとジャムパートが多いインスト曲。どちらも日本に対するサービス曲といった位置付けか!?

それよりも、ライブ本編の流れをキッチリと補完してくれたのが、終盤の”Toussaint L’Overture”の前に”Savor”から”Conga Solo”になだれ込むパートが追加収録されたことで、ライブ本編のクライマックスである”Toussaint L’Overture”のカタルシス度がより一層増したのが、追加収録の一番の恩恵だと思う。


もちろん、追加収録曲以外の所謂本編でも、聴きどころは沢山あるライブアルバムだが、個人的には以下の曲が特に聴き応え抜群かな。どれもライブならではのアレンジとバンドが一体となって襲いかかってくるサウンドと、熱を帯びたカルロス・サンタナのギターが楽しめると思っているので、パッケージ面も含めて、今まで数多くリイシューされたアルバムの中でこのロータスの伝説完全版は最強でしょう!邦題の名に恥じないアルバム!


  • Every Step Of The Way・・フリーキーさがアップしてトリップ度も倍増
  • Oye Como Va・・・パーカッション隊の音の気持ちよさ
  • Yours Is The Light・・・ブラジリアンテイストで情感溢れるカルロス・サンタナのギターが心地良い
  • Samba De Sausalito・・・リズム隊が怒涛に突っ込む迫力あるインスト曲。グルーブが強烈!
  • Samba Pa Ti・・・上に書いたとおり
  • SavorConga SoloToussaint L’Overture・・・上に書いたとおり
  • Incident At Neshabur・・・中盤~終盤に向けて徐々にスローダウンして、静寂を迎える終わり方は冒頭の瞑想にまた繋がるような締め方で劇的



なお、この大阪公演も模様と日本ツアーの模様はビデオ撮影されていて、ブックレットにもその撮影秘話が掲載されているが、これもいつか正式なものとしてリリースできる日が来てほしいなぁ。
Youtubeでは検索すると、いくつか観れるけどね。

 


 



【レビュー】SANTANA "Lotus"(ロータスの伝説 完全版)(パッケージ編)

ここ数年、ソニーがかつて、アナログ4ch(クアドラフォニック)盤が発売されていたジェフ・ベック関連のアルバムをマルチチャンネル収録のSACD Hybrid盤としてリイシューに力を入れていた時に、「あの」アルバムも同じようにリイシューされたら最高だなぁ~と思っていたのが、737月のSANTANA初来日公演でもある73年7月の大阪公演を収録したライブアルバム"Lotus"(邦題:ロータスの伝説)


この"Lotus"は単なるライブアルバムではなく、22面体ジャケという非常にクレイジーな(笑)仕様のアルバムで、2006年には紙ジャケ盤Cリマスター盤としてリイシューされ、22面ジャケも完全再現。私も発売時に購入し、また、その年は伝説となった(笑)Udo Music Festivalで霧が立ち込める中、初めてSANTANAのライブを見て大いに感動したことも併せて覚えている。


リマスターされた紙ジャケ盤でも恐ろしいほどの臨場感がある内容なので、これでも十分なんだが、紙ジャケ盤に掲載されていた解説・当事者の振り返りを読むと、16chのマルチテープはまだどこにあるらしい・・とあったので、いつの日かマルチチャンネル収録のSACD Hybrid盤を拝める日が来るかなぁ・・と思ったが、2017年にとうとうその日は来た!!
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7インチ紙ジャケ盤、SACD Hybrid3枚組、当時のツアーパンフ・チケットのレプリカ版、60ページにもおよぶブックレット、そしてオリジナル・アナログ・マスターテープより発掘された未公開音源7曲を追加し、当時のライブとほぼ同じ流れとなった完全版がここに登場。
まあ、パッケージに貼ってあるシールを見た方が早い(笑)
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前置きが長くなりましたw

まずはパッケージから見てみよう。紙ジャケ盤CD(右)と比べてみる。

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そして、中身を広げてみると、当然だが、7インチ紙ジャケ盤はデカい!

横尾忠則氏のアートワークはなんと言えばいいのだろうか、何かパワーを感じるぐらい迫力がありますね。それがデカいサイズになると更に迫力が増す。オリジナルのアナログ盤はもっと迫力があるだろうな。
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今時こんなパッケージは作れないだろうし、当時のなんでもあり感、日本でも独自企画が通せる時代は羨ましい気もする。

(カルロス・サンタナは出来上がった盤を見て、思わず合掌したらしいw)



今回、追加されたオマケを見ていくと、これは当時のツアーパンフをミニチュア化させたもの。

表紙はCaravanseraiのジャケだけど、ツアーメンバーは一新されているので、ニール・ショーンやグレッグ・ローリーは脱退した後。
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当時のチケットも再現。今と違って、昔はデザインがあるチケットだったから、こっちが記念にもなるよなぁ。
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60ページに増えたブックレットはカルロス・サンタナによる寄稿文、今回の盤の作成に関するサウンド・エンジニア氏らの解説が追加。2006年紙ジャケでオリジナルのアナログ盤に関わった関係者の秘話話も掲載。元々この内容で十分だったから、そこは手を加えなかったと思う。改めて読んでみたら、オイルショックの時代によくこんなパッケージが発売できたのか不思議!
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パッケージだけでも、今まで数多くリイシューされたアルバムの中で最高峰なのは間違いないでしょう!

ディスクを取り出すのに、手間がかかるのはご愛敬(笑)
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ふぅ・・もの凄い物量だw
 長くなったので、4chのマルチチャンネルを聴いた感想はまた後日に。


 


プロフィール

sekibow

熱苦しいハードロック、ヘヴィメタル、スラッシュメタル、ドゥーム・ストーナー系メタル、プログレ、そして70年代〜80年代のウエストコースト系ロックを愛するパフュメタラー。Sign of the Hammer Be My Guide

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