私がANTHEMにハマったのはかなり遅い方である。アルバムでは言えば"Black Empire"直後だったけど、友人から教えてもらい、そこからはコンスタントにライブに行くようになった。そんなタイミングもあり、ANTHEMのボーカルで一番マッチするのは坂本英三と思っていたので、個人的に最高傑作と考えている"Burning Oath"後に坂本英三が再度脱退してしまったのは結構ショックだった。今、思えばあの時がANTHEMが一番好きだったピークだったんだなーと思う。
その後は再び森川之雄が戻ったあとのアルバムは全く問題なかったけど(内容としてはどれも素晴らしい!ことは強調しておく)ライブだと坂本英三が再加入以降の曲も当然やらないといけないわけで、その微妙な違いやライブの立ち振舞いに以前のように120%楽しんでいたかというと、もちろん楽しんでいたが、どこか第三者的な視点で観てしまう時が多かったように思う。
そんなわけで、今回のツアーは坂本英三と本間大嗣が戻った2001年のANTHEMと現行ANTHEMのガチバトルという凄い内容ではあるが、坂本英三が歌うANTHEMが観られる!ということで行ってきた。行ってきたのはツアー最終公演であるEX THEATER六本木公演。声出しは禁止だが、座席も間を開けることをせず、声以外はもはや通常時と一緒である。もう不安感というより日常に戻りつつあるという感覚だ。
そして、本当に久しぶりのメタルのライブで、生で体感する爆音サウンドはやはり格別である。
ライブは2部の構成で、最初に2001年ANTHEMが登場。ドラムが本間大嗣ということで、正に最初に観たANTHEMがそこに復活していたから興奮しないわけがない。セットリスト的には代表曲ばっかりというわけではなく、通好みな曲も多く入っていたのが結構意外だった。もちろん、ライブの流れだったり、メンバーのペース配分ということもあるだろう(柴田さんは2部両方出るのはしんどいと愚痴をMCで言っていたw)。それ以上に、この編成でやり残したことが無いことを確かめるかのようなセトリだったのでは・・・と思う。
仕方ないことなんだけど、ちょっと残念だったのは"Burning Oath"からは"Ghost In The Flame."のみだったこと。この曲のレコーディングを最後に本間大嗣が脱退してしまい、残りは現ドラマーの田丸勇がレコーディングしたアルバムなので、エアポケットようにどちらの編成に当てはまらないことになってしまったのでこのアルバムからは1曲しか選曲されず。坂本英三時代の屈指の名曲"Evil One"や"On And On"をもう一度聴きたかったな〜〜。。その分、"Ghost In The Flame."はレコーディング同様に非常に気合の入った内容ではあった。
それにしても熱いライブだった。己のノスタルジー欲を満たしてくれる内容だったが、連チャンで出演する柴田さん、清水さんの2部のことは考えていないかのような気合の入ったパフォーマンスは素晴らしかったし、坂本英三が歌うANTHEMはやっぱり格別で、この時のANTHEMが一番好きだな!と改めて思った次第。柴田さんと英三さんのMCの絡みは本当に好きだったので、このやりとりがもう一度観たかったのだよ・・・。
ANTHEM2001 Setlist
01.Onslaught
02.Soul Cry
03.Grieve Of Heart
04.Demon's Ride
05.Overload
06.Ghost In The Flame.
07.Insomnia
08.Ignite
09.Walk Through The Night
10.Life Goes On
11.Black Empire
12.Running Blood
15分ほどの休憩を挟みに、2部は現行ANTHEM。
のっけから、あれ?、こんな凄いバンドだったっけ!?とビックリ!!
いや、元々凄いバンドだけど、今までの現行ANTHEMの中でも特に素晴らしい内容だった。
森川さんの気合がいつも以上に入っているように思えたが、自分が在籍していた時のアルバムだけで選曲している分、英三さんだったら〜〜という違和感を感じることもなく、やっぱり森川さんのボーカルは凄いー!!と、余計なことを考えさせることがない構成が良かった。
柴田さんのMCで来年はニューアルバムリリース、ヨーロッパツアー、ZEPP DIVERCITY TOKYOでのワンマンライブと怒涛の発表がされたが、やはり未来に向かうことができるのは現行ANTHEMしかできないわけで、その未来へ突き進む力というのは、ANTHEM2001ではなし得ないものだからこそ、そこが「差」として現れてそれを感じてしまったのだろうか。
そんな想いもありつつも、単純にライブで聴く"Evil Touch"、"Hunting Time"、"Shadow Walk"といった以前の森川さん時代の曲と現行での"The Artery Song"、"Far Away"、"Pain"といった名曲が怒涛に繰り出されるセットリストに完全KO。サミー・ヘイガー時代のVAN HALENはデイヴィッド・リー・ロス時代の曲は最小限にしかやらなかったように、森川さん在籍時の曲で今後もライブの選曲を固めた方がいいんじゃないだろうか。
アンコール2回目には坂本さんと本間さんも参加しての"Wild Anthem"。ボーカルは交代交代で歌い、ドラムも交代交代という内容で、最後は非常にハッピーな気持ちで観ていた。もうなにかの節目以外で坂本さんや本間さんは出てこないんだろうな・・・と少し寂しい気持ちになりつつも、実はノスタルジーに浸るライブではなく、現行ANTHEMの新たな道をハッキリと提示したライブだったんだなと終わったに後に思った。それを物語る鬼気迫るパフォーマンスに来年の活動が楽しみである。
ANTHEM Setlist
01.Shine On
02.Stranger
03.Linkage
04.Evil Touch
05.Hunting Time
06.Absolute Figure
07.Shadow Walk
08.Silent Cross
09.The Artery Song
10.Far Away
11.Shout It Out
12.Venom Strike
〜1st Encore〜
13.Let Your Heartbeat
14.Pain
〜2nd Encore〜
15.Wild Anthem
※セトリは間違えがあるかもしれない・・・