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ARCH ENEMY
の通算10作目となるアルバム"Will To Power"アリッサ・ホワイト・グルーズが加入しての2作目であり、前作"War Eternal"ツアー中に元NEVERMOREジェフ・ルーミズが加入しての1作目に当たる。

ARCH ENEMYは基本的にマイケル・アモットクリストフォー・アモットの兄弟コンビが作曲の中心だったが、前作"War Eternal"製作前にはクリスが脱退したため、マイケルと当時の新ギタリストだったニック・コーデルがソングライティングの中心だった。ということは、新作"Will To Power"NEVERMOREの中心人物でもあったジェフ・ルーミズが加入したから、もしや・・・マイケルとジェフの豪華ギタリストコンビのコラボレーションが出るのでは!?と思ったら、ジェフはソングライティングには一切関わっていないという。。
Burrn!最新号のインタビューを読むと、ジェフはマイケルと一緒にじっくり腰を落ち着けて曲を書く機会がほとんどなく、マイケルはドラムのダニエル・アーランドソンとサッサッと作ってしまっていたので、ソロを弾くだけとなってしまった模様。次作は音楽面のインプットをしたいという発言もあったので、その辺は次作に期待!(しばらくツアー三昧になるから、次作は数年後かな?w)
BURRN! (バーン) 2017年 10月号
シンコーミュージック
2017-09-05



よくよく考えると、SLAYERゲイリー・ホルトが加入しても作曲の中心はケリー・キングのままだったから、他のバンドのメインソングライターが加入しても、そう簡単に共作まで行くのは色々とハードルがあるのかもしれない。

"Will To Power"のクレジットを眺めていたら、2曲ほどクリスの名前が載っていたので、クリスがスウェーデンに帰ってきた時に(彼は現在アメリカ在住)、マイケルと一緒に曲を作ったということで、新加入ギタリストとの共作は無いけど、脱退した弟との共作はあるという内容(笑)アモット兄弟あるあるな感じですねww

さて!肝心の内容だけど、全体を通して、前作"War Eternal"が縦方向への突進力に優れたアルバムとすると、"Will To Power""War Eternal"から更にスケール感をアップさせ、水平方向に広ったイメージがある。メロディの充実度、プログレ的展開、ストリングスの利用に関しては前作にあった要素を更に発展させた内容。

それでも、エクストリームメタルバンドらしい、極端なまでにアグレッシヴな"The Race"で始まり、今まではイントロSEから曲本編に入る展開が多かったので、この始まり方はちょっと新鮮。どうやら、この曲が1曲目なのは日本盤のみでそれ以外はイントロSEの"Set Flame To The Night"から"The Race"に繋がる構成のよう。日本盤だと"Set Flame To The Night"は本編アウトロSEとなっている。個人的には新鮮味を感じる日本盤の曲順が好みかな。

"Blood In The Water"はジェフのスリリングなソロもあれば、マイケルらしい哀愁メロディたっぷりかつノリの良い展開がある曲なので、もっとも安心して聴ける曲かもしれない。同じタイプの曲は6曲目の"Murder Scene"もそうで、ファンなら嫌いになる要素は見当たらないと思う(笑)哀愁のメロディを奏でながら疾走するナンバーは何度聴いても燃えちゃうなぁー。

"Blood In The Water"


最初のPVとなった"The World Is Yours"はメインリフがヨハン・リーヴァ在籍時のARCH ENEMYを彷彿とさせる内容で、サビに繋がる部分は現在のARCH ENEMYらしい展開。中間部分でスローダウンするところは形は違えども、1stアルバムからの"Bury Me An Angel"をちょっと思い出し、ヘドバンできそうなブレイクするパートは"Nemesis"を彷彿とさせる。ARCH ENEMYの美味しいところをギュッと詰め込んだ1曲。ただし、サビのメロディは明るさを感じさせるところが今までとチョット違うし、歌詞もポジティブな内容。ツインギターハーモニーの裏でメロディアスなベースラインを聴かせるシャーリーのベースがカッコイイ!

"The World Is Yours"
 

もう1曲、PVが作られた"The Eagle Flies Alone"はこのバンドのミッドテンポ曲にしても少々弱いかなー。といっても、"Revolution Begins"などと比べたらの話なので、並のバンドだったら素晴らしい!内容になると思う。

"The Eagle Flies Alone"


今作の新機軸と言えば"Reason To Believe"はバンド初となるパワーバラードソングで、アリッサがクリーンボーカルで歌っている!ARCH ENEMY自体にしてもクリーンボーカルを主軸とした曲はこれが初めて!THE AGONISTKAMELOTでもアリッサは普通に歌っても素晴らしいシンガーであることは証明済みだけど、個人的にARCH ENEMYはボーカルはブルータルなままにしてほしいと思っていたので、最初は不満を感じていたが、この曲はサビがデスボイスという普通とは逆の展開なため、曲を聴き終えた印象としては違和感をあまり感じない。この辺のバランス感覚の妙はさすがだなー。

"Reason To Believe"


プログレ的な色合いが強い曲としては、前作"War Eternal"から"Time Is Black"(これは名曲だと思う)があるが、それを更に発展させたのが"Dream Of Retribution"。今作はキーボードを結構入れているパートが多く、よりシンフォニック度合いが高まったところが印象的で、この曲はまさしく、そう。なんだかクリスが作りそうな曲だなーと思ったら、やっぱりマイケルとクリスとのアモット兄弟の共作でしたw
ちなみにこの曲のキーボードはあのイェンス・ヨハンソン

"Dream Of Retribution"


他にはストリングスを大胆に入れている"A Fight I Must Win"といった曲もあるので、全体的にストリングスやキーボードの比重が今までで一番多い。

日本盤ボーナストラックはPRETTY MAIDSのカバーで"Back To Back"G.B.H.のカバーで"City Baby Attacked By Rats"が収録。アリッサが加入してからパンク系のカバーが増えましたね。アリッサの声質ともマッチするし、マイケルのルーツの一つでもあるので、違和感は感じないカバー。"Back To Back"のサビはアリッサのクリーンボーカルも重ねて撮っているので、こちらもオリジナルとそれほど違和感ないかもしれない。アリッサのボーカルの幅は本当に素晴らしいし、彼女はデスボイスでも様々な歌い方ができるから、多様性がタップリある今作とのピッタリなシンガーですな。

アルバム全編通してみて、今作も素晴らしいし、愛聴盤なるでしょう。ARCH ENEMYはエクストリームメタルバンドだけど、ハードロックの要素を抑えているので引き出しが豊富であることが、他のエクストリームメタル系バンドとは違うところで、その要素は毎度のことではあるが、今作は音の隙間を敢えて作った印象を受け、シャーリー・ダンジェロのベースが際立つパートもいくつかある。
その反面、アグレッシヴな側面を強く求めるファンにとってはちょっと物足りない印象があるかもしれない。前述通り、ストリングスやキーボードが入るパートが増えたからだと思うが、個人的には、それよりも気になったのはクリスが抜けた後のARCH ENEMYは、ギターソロの掛け合いパートやソロを繋げてスリリングさを強調するところが減ってしまった印象がある。"War Eternal"はアグレッシヴな側面が強いアルバムだったのであまり気にならなかった。今作はとっても良い内容なんだけど、何か足りない気がする・・と思って考えていたら、そういうことなのかな??

やっぱりマイケル・アモットジェフ・ルーミズと一度腰を落ち着けて共作すべき!と強く思った次第(笑)
しつこいですが、大事なことなので二度言いますww

ウィル・トゥ・パワー
アーチ・エネミー
(株)トゥルーパー・エンタテインメント
2017-09-01