FLEETWOOD MAC関連のリイシューが続いたこの1年間、その最後を?締めるのは予想もしなかったデュオ名義の新作だった。そのFLEETWOOD MACのメインソングライター兼ボーカリストといえばご存知、リンジー・バッキンガム、クリスティン・マクヴィー、そしてスティーヴィー・ニックスの3人。そのうちのリンジー・バッキンガムとクリスティン・マクヴィーの二人がタッグを組み、この二人名義(LINDSEY BUCKINGHAM & CHRISTINE McVIE)のセルフタイトルアルバムをリリース。
IMG_4181


そして、よくよくクレジットを見ると、ドラムにはミック・フリートウッド、ベースにジョン・マクヴィーと来たら、これはスティーヴィー・ニックス抜きのFLEETWOOD MACじゃないか!(笑)音楽性もデュオ名義となったからといって、特別に変わったことをするわけでもないから、FLEETWOOD MACの新作といっても差し支えないほど。
ライナーノーツにはなぜ、わざわざデュオ名義で新作を作った経緯が書いてあるけど、2014年にクリスティンがバンドに戻ってのワールドツアー後にFLEETWOOD MACの新作を製作する予定だったものの、スティーヴィーがソロアルバムのツアーに出てしまったものだから、残った4人で作ったのがこのアルバムらしい。

全10曲、リンジーとクリスティンがリードボーカルを取る曲が 交互に流れる構成にこのアルバム製作の充実さが表れているように思えるけど、内容も単に大ベテランバンドが新作出しました〜的なものではなく、過去の名作にも負けない充実っぷりにビックリ。

1曲目の"Sleeping Around The Corner"はリンジーのソロ曲をリメイクしたものだが、2曲目の" Feel About You"はFLEETWOOD MACの"Tango In The Night"に収録されていてもおかしくない曲。イントロのキーボードは正にこうしたサウンドを待っていたんだよ!と思わず言いたくなる音で二人のポップセンスに衰えは見られない。
 


そして3曲目の"In My World"は同じく "Tango In The Night"からの"Big Love"を彷彿とする曲だが、思わず「オオッ・・」と感嘆の声を出してしまったぐらい、リンジーのギターワークとサビがとっても印象的で、個人的にこのアルバムのキーとなる曲。正にFLEETWOOD MACならではの万華鏡的なサウンドがここに復活!


その分、逆にスティーヴィー・ニックスのコーラスがここに入っていればなぁ〜と思う箇所も沢山ある(笑)やっぱりリンジー、クリスティン、そしてスティーヴィーの3人が揃っていないとFLEETWOOD MACとは言えないことはバンド自身もわかっているから、あえてディオ名義としているかもしれない。 


こうした、いかにもFLEETWOOD MACな曲もあれば、"Too Far Gone"といったモダンな感覚が入った曲もあり、単に大ベテランの懐古趣味的なアルバムと言えないところがこのアルバムのもう一つのミソだと思う。グルーヴィーでノリノリなナンバーが嬉しい。


全10曲、グッと中身が詰まったアルバムだし、ちょくちょくソロアルバムを出していたリンジーはともかく、久々に新曲を出したクリスティンのソングライティング能力とボーカルに衰えが見られないのは本当に凄い!特に最後を締める"Carnival Begin"はクリスティンらしい名曲だと思う。

FLEETWOOD MAC自体は7月16日に"The Classics"という豪華フェスの二日目のトリを努めていたけど、(この日の前座がEARTH,WIND & FIREとJOURNEY!)このアルバムの勢いに乗って、今度こそはFLEETWOOD MACとしてアルバムを製作してほしいなぁ〜。やっぱりキーはソロキャリアを充実させたいスティーヴィー・ニックス!?

The Classicsのセトリはとっても充実しているからタイミングが合えばいつかFLEETWOOD MACの新作が出る日は再びくるか!?みんな歳なんだから、作れる時には作ってほしいと切に願う!


 
リンジー・バッキンガム/クリスティン・マクヴィー<SHM-CD>
リンジー・バッキンガム クリスティン・マクヴィー
ワーナーミュージック・ジャパン
2017-07-19