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約30年間の歴史があるブリティッシュ・ロックのベテラン、THUNDERの純然たる新作としては4年振りとなるアルバム"All The Right Noises"は今作も期待を裏切らない力作!

FREEBAD COMPANYに代表される往年のブリティッシュ・ロックにハードロック的エッセンスを取り入れているTHUNDERだが、今作も特に大きく変わることなく安定した内容。安定した内容と言っても、今まで駄作らしい駄作は一枚も無いバンドだから、長年に渡り、その恐ろしいほど高いレベルの安定っぷりは驚異的としか言いようがない。 そして、今作は"Wonder Days"以降の中で一番の出来なんじゃないかな?まず、そのパワフルで躍動感溢れるサウンドに素晴らしい〜〜〜。


基本的に音楽性に大きな変化が無いバンドだけど、今作はホーンセクションや女性コーラスを多用してよりカラフルになっている反面、サウンドプロダクションは今まで以上に骨太になっており、その対比が今作のサウンドの特徴といえるかもしれない。
Burrn!でのインタビューでもルーク・モーリーは「これはロックに戻ったアルバムとも言えて、前作よりずっとハードでドライブ感あるアルバムだからね」と発言しているので今作はハードにしたいという意図があってのサウンドなんだと実感。
ブリティッシュロックにも色々あるが、ロック本来の良さが詰まったサウンドは正にアルバムタイトルどおり"All  The Right Noises"と言える。


音質面でもアナログライクな作り込み過ぎない感があるのは今まで通りだけど、各楽器の鳴りの響きをキッチリと捉えて本来のパワフルさをクリアに収録しているように思えるので、聴いていて非常に気持ちが良い!音質ではTHUNDERの中でも最も良い音だと思っている。


バラエティ豊かな楽曲はいつも通りで、社会的なテーマを歌詞に取り上げることが多いバンドだが、今作はいつになく、そういったテーマが多いように思う。アルバムの収録が完了したのはイギリスがコロナ渦になる前だったそうだが、今の情勢に通じるところが多くて、歌詞を読みながらアルバムを聴くと、単にカッコいいブリティッシュロックというだけでなく、感情面に訴えかけるところがいつになく多く感じるのは、そんな時代を一緒に生きているせいだろうか?


と、よくよく聴いてみると、細かい変化はいろいろとあるのだが、メンバーのパフォーマンス、音楽スタイルも特に変わることなく、長年安定した活動(特に"Wonder Days"以降はそれが顕著)を続けていることに彼らの強みを感じる。今の世の中、当たり前だったことが簡単に崩れてしまうことが多い中でも、彼らがブリティッシュロックの面白さ・楽しさ・奥深さを変わらず体現しており、そんなバンドは今や貴重かもしれない。
ロックはもはやメインストリームの音楽では無いらしいが、やっぱり人に一番訴えかけるパワーがあるのは人の手によるサウンドだと思うので、世の中の逆風に負けず、まだまだ活動を続けてほしい!
コロナが落ち着いたら、きっとまた来日してくれると思うので、それまでこのアルバムを聴き込んでおこう。


なお、CD2枚組となっており、CD2は4曲、本編に収録されたなかった曲。といってもクォリティは本編と同様でどれも良い曲。そして8曲ほど、新譜からのスタジオライブを収録。しばらくライブを見ることができないと思うので、新譜からのライブも嬉しいところ。スタジオライブといえども、アレンジが少し変わっていたり、ギターソロを追加していたりと既に楽曲が変化しているので、ライブがますます観たくなってしまうなぁ。。というわけで、ファンならCD2枚組盤を買っておくと幸せになります(笑)
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個人的に気に入っている曲をご紹介。

1曲目の"Last One Out Turn Off The Lights"のギター、ベース、ドラムの鳴りっぷりで今作は最高!と確信。リフはLED ZEPPELIN"Whole Lotta Love"に似ているが、Burrn!のインタビューによるとメンバー誰も気付かなかったとか(笑)サビにゴージャスな女性コーラスが入り、今作は今までとちょっと違うことを確信。

 

2曲目の"Destruction"はスケールの大きいグルーヴ感溢れる重厚なナンバー。
 



"Going To Sin City"はアメリカっぽいサウンドで、歌メロは往年のTHUNDER節!ホーンセクション、女性バックコーラスが余計にアメリカっぽさを出している



"I'll Be The One"THUNDERらしいバラード曲だが、バラードという言うには重いテーマにも感じる。それにしてもダニー・ボウズのこの曲のボーカルは本当に素晴らしい!!


"Young Man"THE WHO"Young Man Blues"へのある種のアンサーソングらしく、今の若い世代にとって現代は生き辛い世の中であることを歌っている曲。



シリアスなナンバーが多い今作の中でも、ノリが軽さが良い"You're Gonna Be My Girl"



今作は不思議なアルバムアートワークだが、これは実際にイギリスのランカシャー地方にあるモニュメントでSinging Ringing Tree"というものらしい。巨大なものだと思ったら、意外とそうでもない!?
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オール・ザ・ライト・ノイゼズ
サンダー
ワーナーミュージック・ジャパン
2021-03-12