2021年の個人的にベストアルバム10枚を選出したが、今回はそれに入れなかったが、やっぱり取り上げておきたい2021年にリリースされたアルバムを15枚ご紹介。今回もライブアルバム、EP等は除外。
1.CHEAP TRICK "In Another World"
ベテランにありがちな昔の曲だけに頼るということは無縁のCHEAP TRICK。コンスタントに新譜を作り、それがどれも良盤というのは、よくよく考えても驚異的。継続するというのは本当に凄いと思う。衰えない作曲能力、ロビン・ザンダーのボーカルといい、今作は特に音のフレッシュ感が印象に残る。
2.ALICE COOPER "Detroit Stories"
MC5のウェイン・クレイマーが中心に参加、プロデュースがボブ・エズリンということあって、70年代の頃に回帰したかのようなサウンド。そこに現代的なプロダクションでタイトに締めて、古臭く感じない。カバー曲や過去のリテイク曲の比率が多いが、純粋な新譜として十分楽しめるし、何よりテンションの高さにまだまだアリス・クーパーはロックシーンに必要不可欠と証明してくれる内容。
3.NIGHT RANGER "ATBPO"
NIGHT RANGERは80年代のアルバムだけで十分!と思っていたが、新譜を聴いてすみませんでした!過去の名曲に負けず劣らずの内容で、ジャック・ブレイズの作曲能力は未だ健在ですね。安心二重丸のNIGHT RANGERサウンドだけど、出だしがHIMっぽい曲があったり(↓の曲)と捻りもキチンと入っている。
4.THE DOOBIE BROTHERS "Liberté"
ウエストコーストロックの代表格、THE DOOBIE BROTHERSの11年振り(!)となる新作。ファンなら文句は出ないであろうドゥービーサウンドが満載。その中でキラリと光る"Just Can't Do This Alone"はこの曲のためだけにアルバムを買う価値があると思う。ほのかな切なさとアメリカのバンドらしいスケール感が同局する名曲!!
5.THUNDER "All The Right Reasons"
今や王道のブリティッシュロックを続ける数少ないバンドとなってしまった!?THUNDERの新譜。サウンド面で大きな変化は無いが、楽曲の良さはそのままで、ちょっとしたアプローチを変えることで、常に新鮮な空気が流れるのは、コンスタントに活動を続けているバンドならではこそ。今作はホーンセクションや女性コーラスを多用してよりカラフルになっている反面、サウンドプロダクションは今まで以上に骨太になっており、その対比が今作のサウンドの特徴といえるかもしれない。
6.KK'S PRIEST "Sermons Of The Sinner"
ヘヴィメタルって、基本は「怒り」を表現する音楽だとつくづく思った。
JUDAS PRIESTを脱退して、引退同然だった、K・K・ダウニングがロブ・ハルフォードの後任を努めたティム・リッパー・オーウェンスをボーカルに迎えて、プリーストに再加入できないフラストレーションを全てぶつけたかようなサウンド(笑)K・Kのプリーストでの貢献度が高かったことを示すかのような第二のJUDAS PRIESTといっていい充実した内容で、リッパーのボーカルの素晴らしさは言うまでもなく。彼がバンド在籍時に誰もが求めるプリーストサウンドで勝負してほしかったなぁ・・・。
K・Kの脱退した経緯や、それ以降の言動には賛同できないところが多いが、こうして本家を刺激し続ける音を出してくれるなら、それはそれでOKかなと思っている(笑)
7.CARCASS "Torn Arteries"
CARCASSはビル・スティアがその時にやりたいサウンドが色濃く出るバンドだと認識。確かに同じ内容のアルバムは一つもない。バンドが復帰した前作はファンが求める最大公約数的なサウンドだったように思うが、今作は曲が今まで以上に激しく展開することが多く、ある意味プログレッシブなアプローチが更に増えた。そんな中、ハンドクラップが入った曲があったりと、キャッチーな側面もありつつもビルならでは特徴的なギターサウンドとジェフ・ウォーカーのボーカルがあればどんな音でもCARCASSと一発で判る。
8.LEPROUS "Aphelion"
ノルウェーのLEPROUSはプログレッシブ・メタルの範疇に入るバンドだけど、今作はとうとうその枠を突き破って、LEPROUSというジャンルと言っていいかもしれない。ファルセットを多用したボーカルはそのままにより普遍的な音楽性にシフトしながらもその神秘性・激しさが高次元に混ざりあったその音楽性はジャンルレスな存在に。
9.VOLBEAT "Servant Of The Mind"
VOLBEATはしばらくアルバムを買っていなくて、久しぶりに聴いたけど、とにかく歌メロの充実っぷりは凄いですねー!METALLICAへのオマージュも入った曲調やサウンドだったりするところが多いけど、それが嫌味に聞こえないところは彼らのロカビリーとメタルの融合というユニークな側面と、METALLICA的なところに頼らない曲の良さがあるのかも。
10.TODD LA TORRE "Rejoice In The Suffering"
現QUEENSRYCHEのボーカリスト、トッド・ラ・トゥーレの初のソロアルバム。QUEENSRYCHEっぽい曲調ではあるが、バンド以上にトッドの幅広いボーカルスタイルが堪能でき、彼が本当に優れたボーカリストと実感。曲もバンドより良いのかも・・と思っている。バンドではまだ彼の才能が120%生かされていないと思うので、ここでの充実っぷりを是非QUEENSRYCHEにも持ち込んでほしいなぁ・・・。
11.RONNIE ATKINS " One Shot"
PRETTY MAIDSのボーカリスト、ロニー・アトキンズの初のソロアルバム。メロディックでありつつも一本のビシッ!と揺るぎない芯があるかのようなサウンド、そして、何より良い曲が満載。ロニー・アトキンズはステージ4のガンと戦っているが、アルバムでは何事もなかったようなパワー溢れるボーカルを見せてくれる。多数のゲストも参加しているが、主役はもちろん、ロニー。そのポジティブな姿勢が胸に響く。
12.EDU FALASCHI "Vera Cruz"
ANGRAの二代目ボーカリストだった、エドゥ・ファラスキのソロアルバム。エドゥ在籍時のANGRAといえば、十字軍をテーマにしたコンセプトアルバム"Temple Of Shadows"が代表作だが、そのアルバムを彼なりに再現したかのようなコンセプトアルバム。テーマは十字軍ではなく、ブラジルの歴史にちなんだものだが、非常に密度の濃い演奏とそれに負けないエドゥのボーカルが耳に残る。SOULFLYのマックス・カヴァレラがボーカルでゲスト参加しているのも一つの目玉。
13.坂本真綾 "Duets"
坂本真綾のコンセプトアルバムシリーズの第四弾は様々なボーカリストとのデュエットボーカルアルバム。大変恐縮だけど、小泉今日子ぐらいしか知っている方はいなかったのだが(土岐麻子は現代シティポップを代表する人・・ぐらいの知識しかなく)、楽曲の良さでその辺はほとんど気になることもなく。文字通り坂本真綾とゲストボーカル陣が主役だが、それに負けないぐらいバックのインストの充実度合いと凝った楽曲展開があり、これは嬉しい驚きだった。その中でも土岐麻子との"ひとくちいかが?"はシティポップ的な香りがする曲だが、坂本真綾との相性もバッチリでこれはかなりお気に入りの曲である。
14.WHEEL "Resident Human"
フィンランドの若手のTOOLフォロワーバンドの2作目。TOOLのような邪気というか得体の知れないモンスター感は薄いが、完成度の高さはピカイチ。TOOLよりメタル的な要素があることと、割とクセのないボーカルなので、人によっては本家より聴きやすいかも。
15.DREAM THEATER "A View From The Top Of The World"
プログレッシブ・メタルの絶対的王者DREAM THEATERの新作。今作も好きなんだけど、なんか喉の奥に小骨が引っかかっているような感覚になってしまう。そんなモヤモヤがあるけど、気が付いたらよく聴いていた。このモヤモヤの正体を探していたという意味合いはあったけど、このバンドが嫌いになることはなく、他のバンドだったら大名盤!と言われる内容なんだけどね・・・・。アンディ・スニープのミキシングはカッチリとまとめた音像でこのバンドにちょっと新しい要素を入れてくれた。
以上、15枚でした!2022年も良いアルバムと出会えますように。