純粋なオリジナルスタジオアルバムとしては"Amused To Death"以来、25年振りとなるROGER WATERSの新譜"Is This The Life We Really Want?"
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まるで検問が入ったかのような黒く塗り潰された文章の数々に思わずギョッ!とするジャケがインパクトあるけど、肝心の音はどうだろうか?新解釈のThe Wall完全再現ライブを経て、満を持してのオリジナルアルバムなので、私は結構期待していました!

音楽面では驚くほど奇をてらうところはない、ロジャー・ウォーターズ節満載の歌メロとサウンド。特にロジャー在籍時のPINK FLOYD・・・"Animals""The Wall"のダークなところをセルフオマージュしたようなパートが満載でここまでセルフオマージュしているアルバムは初では・・? 個人的には"Animals"からだと、"Dogs"、"The Wall"からだとアルバム中盤辺りの"Empty Spaces"〜"Hey You"ぐらいまでの楽曲をバラバラにしてもう一度再構築したイメージかな。

今までのソロアルバムでは女性バックコーラス隊がボーカルパートに華を添えることが多かったけど、今作のボーカル面は基本的にロジャー・ウォーターズのボーカルのみでコーラスも控えめというシンプルさ。こんなところも余計にロジャー在籍時のPINK FLOYDを想起させる音作りのように思える。

そして、何よりも今までとの一番の違いはギタリストに対するアプローチ。フロイド脱退以降はデイヴィッド・ギルモアへの対抗心からかエリック・クラプトンやジェフ・ベックという大物がゲストで登場していたが、今作は特に大物のゲスト参加は無し。そして、ギターパートもあくまで楽曲のサポートに徹する内容。だから、前作の"Amused To Death"や前前作の"Radio K.A.O.S."にあったような音楽的カタルシスが無く、最初に聴いた時は、想像以上に地味なアルバムだ!と思いましたよ(笑)集中していないと、えっ!?もう終わり!?という印象だったけど、何度か聴き込むうちに、ロジャー節が段々とクセになっていくから、そこはさすがロジャー・ウォーターズ!かなw

というわけで、やっぱりこのアルバムは今まで以上に歌詞に重点に置かれて、ロジャーが歌詞で言いたいメッセージをいかに読み解くのがポイントなんでしょうね。今作はストーリーに基づくアルバムではなく、一定のテーマに基づくコンセプトアルバムであり、そのテーマは昨今の世界事情に基づく、紛争、差別、政治などに関して。今まで以上に噛み付くかのような歌詞の鋭さがありながらも、逆に音楽はゆったりとしている面が多いのため、静かな怒りがそこに感じられる。

歌詞カードと対訳をにらめっこさせながら、自分なりに歌詞を読み解いていくのだけど、セリフが多く入ったSEを多用していることと、対訳を読んだだけでは、わからない表現や言葉が出て来るので、どうしたもんかと思ったら、こういう時はインターネット様を活用すればいいじゃん!(笑)
たまたま見つけたのが、このサイト。
GENIUS.COM
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歌詞のWikipedia版のようなものかな?ユーザが歌詞に関して色々と解釈を付け加えていくもので、ものによっては元ネタとなる曲などの動画サイトのリンクが貼ってあるなど、画面を切り替えることなく情報にアクセスできるのは結構便利(英語のサイトですけどね)。特にこのアルバムは時事ネタ含めてそんな要素が満載だからピッタリ。もしかしたら、間違った解釈が載っているかもしれないけど、それはそれで一つの考え方として。

https://genius.com/albums/Roger-waters/Is-this-the-life-we-really-want

SEのセリフに関しても掲載しているのは結構ポイント高し!
一番わかりやすいところで言えば、タイトル曲"Is This The Life We Really Want?"の冒頭SEのセリフはトランプ大統領がCNNのインタビューで答えている一節が載っているし、元ネタの動画も載っている。
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また、"Last Refugee"については、溺死してしまったシリア難民の男児の写真が世界に衝撃を与えた話がありましたよね?おそらくそれに関して触れている解釈が写真付で載っているなど、文章だけでなく画像と動画も含めて、関連情報ソースに触れることができるという意味では、様々なテーマが入り組んで、あちこちにネタを散りばめているこのアルバムの理解を深めるには一番かもしれない。
(THE BEATLESネタが結構入っているという解釈が散見されるけど。。)

それにしても、ロジャー・ウォーターズも70歳というのに、まだまだ世界に対して言いたいことがあるという意味では、未だエネルギッシュな方であるのは嬉しいことだし(ツアーもバリバリこなしていますね。果たして来日公演はあるのか?)、それだけ世界情勢に対して危機感を募らせている証拠かも。

アルバムの題材は決して遠い国の話でなく、日本も将来に対して不安になるような話が一杯ですよね。日本にロジャー・ウォーターズのように信念を持って吠え続けるアーティストはいるのか?私が知らないだけもしれないけど、残念ながら見当たらないのが日本の現状かもしれない。
と、このアルバムを聴いていると、そんなことを思ってしまう。

このアルバムの音楽面をもう一度振り返ると、単純に曲として、好きなのは後半の"Smell The Roses"。それまでの淡々とした流れの中からハッ!とさせられるサウンドが特徴で、中間部分はちょっとフロイドの"Dogs"に似ているかな?と思ったら その中間部分に犬の鳴き声が入っているじゃないか!(笑)

この曲のように、気付くとちょっとクスっとしてしまうようなギミックがあるので、歌詞は明るくないが、音楽面では遊びの部分があるところに、ロジャー・ウォーターズのアーティストとしての姿勢に改めて気付く一枚かもしれない。


でも、やっぱり印象的なギターフレーズは欲しいなぁと思う(笑)ただし、ロジャー的には余計な装飾はいらず、自分の言いたいことを伝えたい・感じ取ってほしいことに焦点を当てたアルバムだから、今回はインストが目立つことは選択しなかったのかなと解釈。 

好きなアルバムだけど、何か足りないような気もするモヤモヤとしたアルバムですね(笑)来日公演があれば、映像もバリバリ使うと思うし、アルバムの内容もより理解できそうな気がするから、来日公演が決まれば傑作!と言うのでよろしくお願いしますw