ここ1年間のFLEETWOOD MAC関連のリイシュー攻勢が凄い。去年は”Mirage”のリマスター盤がリリースされ、続いてSTEVIE NICKSのソロアルバム2枚も初のリマスター盤として発売。今年は初CD化となるBUCKINGHAM / NICKSと来て、そして、極めつけはFLEETWOOD MAC”Tango In The Night”が「初」リマスター盤で登場!!オイオイ、この攻勢はもしかして来日ある?(ありません苦笑)
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後追いFLEETWOOD MACファンでありながらも、この”Tango In The Night”には手を出しておらず、理由はリマスター盤が出るのをずっと待っていたから!(笑)だから、こうしてリマスター盤を手にすることができたので、私も堂々と語れるぞ!(笑)FLEETWOOD MACの万華鏡的なきらびやかさが80年代的サウンドで更に磨かれ、色々意味で今までのFLEETWOOD MACのアルバムとは異なり、彼らのアルバムの中でも特にユニークな一枚という印象!


ユニークと感じたのは、先程のサウンド面でもそうだが、歌メロが80'sしているのが多い印象!特にそれが際立っているのが"Isn't Midnight"。今までのクリスティン・マカヴィーの曲は牧歌的なものが多かったが、これは80'sハードポップでビックリ。個人的にとっても好きな曲ですけどね。
 

そして、やっぱり一番目立っているのがリンジー・バッキンガム。ギタープレイ・ボーカルもそうだけど、プロデュースも担って孤軍奮闘?1曲目の"Big Love"のギターワークはやっぱり非凡なものを感じるし、彼のギターが今まで一番目立っているかも。


どうやら、当初はリンジーのソロアルバムとして作っていたが、そのうちFLEETWOOD MACとして・・となったようだからそれも納得。そんな背景も踏まえて、今までのアルバムと同様、リンジー、クリスティン、そしてスティーヴィー・ニックスが受け持つ楽曲数比率に大きな変化は無いが、このアルバムはリンジーとクリスティンの印象が強くて、逆にスティーヴィーの影が薄く感じてしまう。
スティーヴィー・ニックスがメインボーカルの"Seven Wonders"は名曲だけど、スティーヴィーのソロという印象が強い曲だし、同様にメインボーカルの"Welcome To The Room...Sara"はあのSaraの名前が出て来る曲だが、後のスティーヴィーのソロで出てくる"Rooms On Fire""If Anyone Falls In Love"の原型のような曲でFLEETWOOD MACと少し距離を取っているようにも思える。

"Seven Wonders"


ライナーノーツを読むと、スティーヴィーの当時のクスリの問題や、この"Tango In The Night"はリンジーの自宅でレコーディングしていたため(しかもボーカルはリンジーの寝室でレコーディング!(^O^;))、製作に1年を費やした中でスティーヴィーが出てきたのは2週間のみだったようで。ライナーノーツのスティーヴィーの言葉として印象的だったのはちょっと載せてみる。

「Tango In The Nightは大好きなアルバムよ。ある程度客観的な視点から言えるわ。実際のところ、私はほとんどその場にいなかったから」
「さらに話を複雑にしたのはTango In The Nightをリンジーの自宅で作ったことだった。彼のガールフレンドがいて、私がその場にいるのは奇妙な感じだった。ボーカルは文字通り彼らの寝室でレコーディングしたもので、そのとき頭がボンヤリしていた私ですら、これは変だと気付いた」

そんな状況下で製作したのにも関わらず、認めるべきものは認めるプロフェッショナルな姿勢はさすがですね。3人のうちどちらかがリードボーカルを取っても、残り二人が存在感があって、なおかつ曲の一部として完全に機能しているコーラスワークはFLEETWOOD MACならでは!そういう意味ではクリスティンがリードボーカルの"Little Lies"はその代表的な曲かも。リンジーとスティーヴィーのバックボーカルが無いとこの曲は成立しないぐらい見事ですし。

"Little Lies"


相変わらず一筋縄ではいかないバンド事情にも関わらず、結果的にリンジーが製作の音頭を取ったこともあって、今までのアルバムの中で非常にまとまりがあって、隙が無いアルバムだから、帯の「噂」を超えてという煽り文句もウソじゃないかも!しかし、制作後、バンドから脱退してしまったのは、なんたる皮肉というかべきか。その辺の詳しい内容はライナーノーツに詳しく書いてあるけど、このライナーノーツも読み応えがある。FLEETWOOD MACって、ほんと、ソープオペラなエピソードが事欠かないバンドだよなぁ。。

さて、肝心なリマスターとしては最近の傾向に倣って音圧を控え目にし、その分、アンプのボリュームノブをグッと廻しても音の幅に余地があるタイプ。この時代ならでは抜けの良い音と相まって、いいリマスターなんじゃないかと!
そして、Expanded Editionのディスク2枚目はデモ音源やB面曲集。デモ音源は80年代的な装飾を施す前なので、Lawな味わいがなかなか興味深い。その中で、おや?と気になったのは"Ooh My Love"のデモバージョン。スティーヴィー・ニックスファンだったら、"Ooh My Love"は彼女のソロ"The Other Side Of The Mirror"に収録されている曲だが、このデモは全くの別物。・・・と思ったらテンポとサビ部分はまるで違えども、歌詞と歌メロは同じ!(正確には最初のヴァースだけですが)結局、この曲は本編に採用されなかったので、スティーヴィーが自分のソロとして完成させたってことですかね?

スティーヴィー・ニックスの"Ooh My Love"


他には本編ラストを飾る"You And I, Part II"のフルバージョン、"You And I Part I & II"も収録。Part Iはどこいったんだ!というツッコミに対して、応えてくれている内容ですが、結局、Part Iの部分はイントロのようなもんなんで、本編がPart IIだけにしたのは正解だったかも(笑)そんな視点からでも楽しめるExpanded Editionということで、ファンならせめてExpanded Editionのがいいのかも!?

これで一連のFLEETWOOD MACのリイシュー攻勢は落ち着きますかね。Stevie Nicksのソロリイシューは2ndアルバムで止まっているので、3枚目以降も再開してほしいなぁ。


タンゴ・イン・ザ・ナイト エクスパンデッド・エディション<SHM-CD>
フリートウッド・マック
ワーナーミュージック・ジャパン
2017-05-24