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STEVEN WILSON
といえば、PORCUPINE TREE、ソロ作品で現代のプログレッシブロックシーンを引っ張る存在のアーティストだが、それだけはなく、KING CRIMSONを始め、数多くのプログレリイシュー作品でリマスター・リミックスを担当していることでも有名。最近はTEARS FOR FEARSなど、80年代ポップスのリミックス作品も手掛けているなど、活動の幅が更に広がっている模様。こういった経歴を踏まえて、現在進行系の音楽を作りつつ、なおかつ過去作品のリイシューを手掛けていることをしているので、私は彼を数少ないプログレ界において、現在と過去を見事に繋いでくれているアーティストだと思っている。そんなSTEVEN WILSONの最新ソロ作品は今までの作風とちょっとどころか、だいぶ違うらしいので、どんな変化があるのかとっても楽しみにしていた。

まず、一つ大きな違いを挙げるとすれば、レーベルが今まで所属していたKscopeからCarolineに移ったことでしょう。Caroline所属のアーティストを見ると、Kscopeとは全く違ったアーティストばかりで、ここにスティーヴン・ウィルソンが入るの?とビックリ。そしていきなり3曲もPVが作成され、この3曲は今までのスティーヴン・ウィルソンのカラーと異なる曲でコンテンポラリーといってもいい曲。

"Pariah"

女性ボーカリスト、Ninet Tayebとのデュエット曲。男女のデュエットと曲調からしてピーター・ガブリエルがケイト・ブッシュとのデュエット曲"Don't Give Up"が想起される。


"Permanating"

アルバムの中で最もポップかつダンサブルな曲でそのキャッチーさが一際目立つ。とにかく、耳に残る曲調と歌メロが個人的にドンピシャ!この曲は何回もリピートしても飽きない。ABBA"Mamma Mia"のオマージュのように聴こえるけど(笑)ボリウッドダンサーが沢山出てくるPVを見ていると思わず踊りたくなる。そして、ニコッ!と笑うスティーヴン・ウィルソンがこのPVのポイントw

"Song Of I"

モダンでダークな曲でSophie Hungerというシンガーとのデュエット曲。ダークな曲はスティーヴン・ウィルソンの曲で数多くあるが、この曲はSTORM CORROSIONを更に洗練させコンテンポラリーにした曲のよう。

アルバムを代表する今までとカラーが異なる曲を3つ挙げたが、アルバム全体通して聴くと、それほど今までのスティーヴン・ウィルソンの音楽と変わらない印象を受ける。そこで、"Raven That Refused To Sing"や前作の"Hand.Cannot.Erase"を改めて聴いてみると、サウンド面ではやっぱりカラーが変わっている。今作の"To The Bone"は音の輪郭が総じてマイルドな作りという印象でメタリックで尖ったパートは控え目。そういう意味では若干、取っ付き易いのかな?

もちろん、従来路線の曲もあるので、全体のバランスは取っている印象。ところどころインストで聴かせるパートもキッチリと抑えているので、セルアウトしたアルバムになっているわけでもない。"Nowhere Now"の中間部分のインストパートはグッ!と盛り上がるので最高!

"Nowhere Now"


"Detonation"

この"Detonation"は終盤のハイライト曲でもあるが、スティーヴン・ウィルソンの王道的な曲で今作で最も長い9分台の曲でDavid Kollarというの弾きまくるギターソロとスペイシーなバックが気持ちいい。アルバムの中で一番王道プログレ的な曲かもしれない。プログレしている曲は他にもあって、"The Same Asylum As Before"はエッジのある音と展開が豊富な曲調は安心するかも?w

というわけで、まとめると、サウンドは聴きやすい方向に舵を取りつつも、今まで培ってきた路線をキープしつつ、スティーヴン・ウィルソンが好きな80年代のポップス要素を入れて、新たな境地を迎えたアルバムと言えるかも。まあ、PINK FLOYDというか、デイヴィッド・ギルモアやロジャー・ウォーターズっぽいところは色濃く出ているところもあるので、そこは相変わらず好きだなぁ〜とニンマリするか、またそのパターン?とちょっと斜めに構えるかでちょっと印象は変わるかもしれない。
私?個人的にはとっても楽しんでいるアルバムだけど、もっと変化していると思ったので、そこはもっと変化してほしかった気持ちもあります。

話を最初に戻して、スティーヴン・ウィルソンはプログレ界において現在と過去を見事に繋いでくれているアーティストだと思っていると書いたけど、日本だとなんか人気がイマイチのような気がしてならない。。PORCUPINE TREEであのUdo Music Festivalの惨状が尾を引いてしまっているのか・・・。私はその場にいて最初の数曲は聴いてましたが、メインステージで新生ALICE IN CHAINSが気になってしまい、そっちに行ってしまったので説得力は無いかもしれないけど(爆)チッタさんとか呼んでくださいー!!!


トゥ・ザ・ボーン
スティーヴン・ウィルソン
Hostess Entertainment
2017-08-18