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EUROPEのギタリスト、キー・マルセロFAIR WARNINGのボーカル、トミー・ハートがタッグを組んだバンド、OUT OF THIS WORLDのデビュー作。この二人は以前、KEE OF HEARTS名義でタッグを組んでいるが、KEE OF HEARTSはFrontiersレーベル主催で作曲もプロデューサーであるアレッサンドロ・デル・ヴェッキオが全て担当しており、二人は作曲に実質関わっていない。しかし、OUT OF THIS WORLDキー・マルセロが全て作曲しており、バンドとして活動していく意思を強く感じる。
何より、そのバンド名はキー・マルセロが加入したEUROPEの名盤から名前を取っているので、ネーミングからして気合が違うと思う!しかも、ミキシングはその名盤のプロデューサー・ミキシングを担当したロン・ネヴィソン!舞台は全て整った。これは期待しない方が難しいでしょう。


EUROPE"Out Of This World"は昔、Burrn!誌のレビューの低評価っぷりが有名ではあるが、今では彼らの名盤と認識している人がほとんどだと思う。前作"The Final Countdown"を更に洗練し、よりポップでキャッチーした優れたアルバムで、新加入したキー・マルセロの構築美溢れるギターソロは曲の重要なパートとなっていた。EUROPE再結成後に再加入したジョン・ノーラムキー・マルセロ時代の曲を弾く時は原曲ソロを忠実に弾いているところも、彼に対するリスペクトを感じる。
アウト・オブ・ディス・ワールド
Joey Tempest
Sony Music Direct
2004-09-23



さて、そのOUT OF THIS WORLDとしてのデビューアルバムだが、JOURNEYに通じるところが非常に多いアメリカンな爽快さ溢れるアルバムとなっている。トミー・ハートのパワフルで伸びやかな歌声をキー・マルセロのギターソロはニール・ショーンっぽいところもあるが、彼ならでは滑らかさがあり、やはり彼は楽曲を曲の重要なパートを担っている。哀愁度合いは意外と低いので、彼らにどの辺を期待しているかによって、受け止め方に差は出てきそうだが、バンド全体のまとまり感も出ているので、プロジェクト臭は無いし、バンドメンバー自身で音の方向性をキチッと固めているところは、今後の展開も予感できる!


個人的にはスケールの大きさを感じる曲と歌心満載のギターソロがある"Hanging On"、哀愁ある展開が妙の"Starting At The Sun"がアルバムのキーとなる曲になるかな。ただし、期待値が高過ぎたせいか、「これぞ、名曲!」という曲が無かったのが非常に惜しい。いや、並のバンドからしたら名曲オンパレードと言われる内容だと思うんだけど(笑)、キー・マルセロが全て作曲するというので、勝手に期待していたかもしれない^^;
そして、この手のバンドは必ずVAN HALENタイプの曲を1曲入れてきますねー、"The Warrior"はまさしくそう(笑)
  


なお、国内版の限定盤ではCD2枚組となっており、CD2枚目はKEE OF HEARTSとして出演した2018年のH.E.A.T. Festivalのライブアルバム。KEE OF HEARTSの曲の他にキー・マルセロ在籍時のEUROPEの曲、FAIR WARNINGの曲も演っているので、なかなか豪華なセットリストとなっている!

トミー・ハートが歌うEUROPEの曲は新鮮に聞こえるし、キー・マルセロが弾くFAIR WARNINGもなかなか面白い。特に"Burning Heart"のギターソロアレンジはオリジナルと聴き比べてみるのもいいかも。
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OUT OF THIS WORLDはこの手のメロディアス・ハードバンドの中でも発展性が期待できるバンドなだけにコロナ渦の状況が本当に恨めしい。コロナが無ければ来日してライブをやれば、盛り上がることが容易に想像できる分、タイミングとしては残念。引き続き、2枚、3枚とアルバムをコンスタントにリリースしてほしいですなぁ。


 
CD2枚組で税込み4,950円という価格は正直高い!と思ったが、ライブCDの価値も踏まえると元は取れると思う。でも、少なくとも4,000円台前半にしてほしかったなー