様々な名盤がリマスターされているが、未だリマスターが一度もされていないアルバムも沢山ある。パットと思いつくだけで、サミー・ヘイガー時代のVAN HALEN、トニー・マーティン時代のBLACK SABBATH("Eternal Idol"はリマスターされているが)、THIN LIZZYの"Life-Live"などなど。そんな中、ジョン・ノーラムがEUROPE脱退後にリリースしたソロアルバムから初期3枚がRock Candyレーベルから再発されたではないか!
ジョン・ノーラムのソロアルバムの中で名盤といえば、グレン・ヒューズが全面参加し、1992年にリリースされた2ndアルバムの"Face The Truth"でしょう!リマスター盤は新規ライナーノーツとジョン・ノーラムがアルバムを振り返るインタビューも入っているが、肝心なその音も素晴らしい。元々、ギターの音に定評があったアルバムだが、リマスターによって、音の厚みが増し、ギターの音の鋭さもグレードアップ。例えば、1曲目の"Face The Truth"のキレっぷりが更によくなって、買い直す価値は多いにあると思う。
ライナーノーツを読むと、このアルバムの製作に至るまでの過程がよくわかり、個人的にはその辺の話はあまり知らなかったので、へぇー!と思うところが多数。グレン・ヒューズとジョン・ノーラムの繋がりは1988年に始まって、グレンがスウェーデンに行き、アルバム製作を一緒に始めようとしたが、グレンのドラッグ中毒の問題により、話は無くなってしまうことや、ジョンがドン・ドッケンのソロに加入し、その流れでメンバーにアルバムで参加してもらおうとした話などなど。
グレン・ヒューズもドラッグ問題を克服したばかりで、十分な製作期間が無かったとはいえ、このクォリティは驚異的。グレン・ヒューズが以前、ゲイリー・ムーアのアルバム"Run For Cover"に参加して、それが発展していったらこの"Face The Truth"のようなものになっていたかもしれない・・・そんな可能性があったことを感じさせてくれるアルバムだと思う。
グレン・ヒューズは90年代半ばから80年代の低迷期(理由はドラッグ中毒による健康問題)の分を取り戻すかのようにソロ活動を中心に音楽活動を邁進しているけど、少しタイミングがずれていたら、 ジョン・ノーラムのアルバム参加は無かったかもしれない。ジョンとグレンのコラボは実質この1枚のみで終わってしまっているので、人生って、タイミングが重要だなーと改めて思うのであった。
たった1枚で終わってしまった二人によるアルバムだが、コンビネーションの良さはどの曲でも感じられ、タイトル曲以外でも"Time Will Find The Answer"、"Counting On Your Love"、"Distance Voice"は極上のハードロックソングで大好きである。少し面白いのが"Still The Night"で、元々HUGHES/THRALLの2ndアルバム用として準備していた曲だったが、グレン・ヒューズが参加したメル・ギャレー主導のプロジェクトPHENOMENAでセルフカヴァーされ、更にこのジョン・ノーラムのアルバムでもセルフカヴァーされたので、グレンにとっても2回もリメイクされた曲となっている。
ジョン・ノーラムバージョンは当然ギターを中心とした作りとなっており、キーボード主体のPHENOMENAバージョンとの違って、印象が大きくに変わっているところも興味深い(HUGHES/THRALLのリマスター盤ではオリジナルバージョンが収録)。ジョンによるグレン・ヒューズへの目配せを感じますね(笑)
ジョン・ノーラムの1stソロバム"Total Control"は持っていなかったのでこれを機会に一緒に購入。
3曲ほどヨラン・エドマンがボーカルを努めているけど、ジョン自身によるボーカルはこれでこれで味があってよかったかな。特にTHIN LIZZYのカバーだとフィル・ライノットっぽい歌い方でハマっていた。ただし、ボーカルのリヴァーブをかけ過ぎていていかにも87年の北欧という時代を感じさせる音作りですね。1stアルバムは北欧っぽい歌メロに魅力があるけど、2ndアルバムの"Face The Truth"は時代を感じさせない、その音が余計に際立っていると思った。ちなみに1stアルバムのリマスター盤はボーナストラックとして、"Live In Stockholm EP"が収録。ライブでもTHIN LIZZYナンバーを歌うジョン・ノーラムはハマってますね。
あっ!ジョン・ノーラムがドン・ドッケンのソロアルバム参加で思い出した!ドン・ドッケンの"Up From The Ashes"のリマスターされてほしいアルバムだ!リマスターしてほしいアルバムはまだまだ無限にある・・・・。